いつかの「もしも」に備えて。ローリングストックが必要な理由と準備のポイント
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皆さんは非常用の備えと聞くと、どんなものを思い浮かべますか?
防災用の長期保存水や、乾パンなどの食品を想像する方がきっと多いのではないでしょうか。
たしかにそういったものは長期に保存できるメリットもあるのですが、「これは災害の時のために備蓄しておこう」とはりきって災害用の食料品や日用品を準備しても、ふだん気に掛けるものではないので、いざというときに賞味期限が切れていたり、使いものにならなくなっている可能性もあります。
また非常時用に作られたものはあくまで非常時用なので、ふだん使わないぶん作り方や使い方がわからなかったり、食べてみたら口に合わないといったこともありえますよね。
だから、日頃から自宅で使っているものや使ってもいいものを少し多めにたくわえ、賞味期限や使用期限を切らさないように使い、使った分はまた買い足すことでいざというときに備えよう。こんな考え方を「ローリングストック」といいます。
今回は、そんなローリングストックがどうして必要なのか、そして始めるときにどんなことに気をつけたらいいのかをご紹介。災害時に実際に困ったこともインタビューしてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
どうしてローリングストックが必要なの?
とはいっても、本当にローリングストックって必要なの?と疑問に思ってしまいますよね。ローリングストックなんてしなくても、意外となんとかなるんじゃないかな…と感じる人も少なくないと思います。
災害にあうこと自体めったにないことなので、国から支援物資がとどくのにどのくらい時間がかかるのかはあまりよく知られていませんが、農林水産省によるとおおむね4日ほどかかるそう。
“災害の規模にもよるものの、国や自治体による支援が機能し始めるのは、発災からおおむね4日目以降。それまでは、各自治体による備蓄に頼ることになります。例えば、乾パンやインスタント麺、米、缶詰、飲料水など。ただし、インスタント麺や米はライフラインが遮断されていた場合、当然食べることはできません。特に、アレルギーや持病がある場合、個々のニーズに対応した支援が受けられるとは限りません。”
農林水産省.「避難所と支援物資」(参照: 2023-07-07)
つまり、4日くらいはおうちにある食べ物や飲み物、日用品で過ごさないといけないかもしれないということ。冷蔵庫の中にある食材だけで4日過ごすのは、ちょっと難しいですよね。もしかしたら、場所によっては支援にもう少し時間がかかる可能性もあります。
また、先ほどのところにも書いているように、アレルギーや持病にあった支援を必ずしも受けられるわけではありません。そういったこともあり、自分だけではなくパートナーや子どもが災害時に安心できるように、ローリングストックをしてみようとはじめる方もきっと多いはずです。
ローリングストックをはじめる方向け。基本の考えと忘れがちなポイント
ローリングストックをはじめるときは、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
ローリングストックに向いているものの基本的な条件は、次の4つです。
・常温保存できるもの
・調理しなくてよいもの
・賞味、消費期限が長いもの
・栄養バランスが偏らないもの
ただ、それ以外にも忘れがちなポイントなのが「おいしくて好きなものを入れる」「食べ物・飲み物以外にも大切なものを入れる」ということです。どうしてそんなことが大切なのでしょうか?
おいしくて好きなものを入れよう
食事は、ストレスを解消できる大切な手段のひとつですよね。
非常時はどうしてもストレスがたまってしまう状況。そんなときのおいしい食事は、つらい気持ちを少しでもやわらげてくれるはずです。だからこそ、食事でストレスをためてしまわないよう、おいしいものや好きなものを取り入れることが重要です。
また、ローリングストックを続けていくには「使って買い足す」という流れが大切なので、そういった意味でも普段づかいしてストレスがたまらないものを選ぶのがおすすめですよ。
食べ物・飲み物以外にも日用品を入れよう
ローリングストックというと食べ物・飲み物というイメージが強いですが、日用品でもローリングストックをしておくと便利です。
トイレットペーパーやティッシュ、カセットコンロなどを準備しておけば、いざというときに助かる場面がたくさん出てきます。ほかにもラップなどは、傷に巻いて止血に使ったり、お皿にひいて洗わないで済むようにできるなど、思いもよらない活躍を見せてくれることも。
日用品とは少し異なりますが、ソーラー充電のランタンやバッテリーなどを用意しておくこともおすすめです。災害時は情報が入ってこないと不安になってしまうので、スマホが充電できるような備えをしておくと安心ですね。
災害のときに困ったことは?実際に聞いてみました
災害にそなえてローリングストックをしておくことも大切ですが、災害時はそれ以外にも必要になるもの・ことはたくさんあります。実際に災害があったとき、どんなことに気をつけたらいい?そんな疑問を、災害を経験したことのあるメンバーに聞いてみました。
話によれば、災害がおこったときに一番大切なのは「逃げ道と水の確保」だそう。とくに水は、ふだん意識していないけれどもたくさん使っているので、止まってしまう前に水をバスタブやお鍋などにできるだけため込んだほうがいいとのこと。
また、地震の場合は揺れを感じたら玄関のドアを開けて逃げ道を確保します。今は震度5以上の場合、安全装置でガスが止まる仕組みもありますが、揺れがおさまったら可能な限りガスの元栓を閉めることも大切です。
災害時はガラスが割れて床に散らばっていることも多いので、抵抗はあっても靴を履いたりして足をけがしないようにするのもいいとのこと。停電などで足元がわかりにくいと、けがをしてしまうリスクは高まりそうですね。
無理のない範囲でローリングストックをはじめてみよう
いつ起こるものかわからないからこそ、いざ災害があったときに困らないようにふだんから備えておきたいもの。とはいえ、災害時に何が必要になるのかをすべて理解し、ふだんから何もかも備蓄しておくことは大変ですよね。
日常でつかうことの少ない災害用のものなどは、用意に時間もお金もかかりがち。ローリングストックは、そういった意味でもハードルが低くてはじめやすいといえるかもしれません。
自分だけではなく大切な人を守るためにも、まずは無理のない範囲でローリングストックをはじめてみてはいかがでしょうか。